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ロイズ・レジスター、業界初となる「船上水素生成」に関するガイダンスノートを発行

規制の明確化を求める海事業界の要請に対応

ロイズ・レジスター(Lloyd’s Register:以下、LR)はこのたび、船上での水素生成技術の安全な設計・導入を目的として、業界初となる「船上水素生成に関するガイダンスノート」を発行しました。本ガイダンスノートは、船上水素生成に関する長年の不明瞭さを解消し、技術導入に向けた明確な指針を提供するものです。

本ガイダンスノートは、LNG、メタノール、アンモニアなどの代替燃料を用いて船上で水素を生成する技術に対し、船主、造船所、技術開発事業者の関心が高まっている現状を背景に策定されました。

水素は脱炭素化に向けた重要な燃料として注目されている一方で、供給量の制約や複雑なバンカリングインフラの未整備が、海運分野での本格的な導入を妨げています。また、船上での水素貯蔵は、必要な貯蔵スペースやシステムの複雑性といった観点からも課題が多いのが現状です。

船上水素生成に関するガイダンスノート 表紙

こうした課題に対し、船上水素生成は、将来のゼロエミッション船に向けた現実的な移行手段として位置付けられています。船内で水素を直接生成することで、大規模な水素貯蔵設備を不要とし、将来的な水素供給網やバンカリングインフラへの依存を低減するとともに、今後強化される排出規制や脱炭素関連規制への対応を可能とします。

一方で、船上水素生成技術は、二種類のガスや低引火点燃料を扱うことに加え、成熟した国際規制が未整備であることから、安全面および規制面での課題も伴います。これに対し、本ガイダンスノートは、燃料電池及び低引火点燃料に関するLRの既存規則を基盤として策定されており、不確実性を低減するとともに、設計承認を支援し、新造船及び改造プロジェクトの円滑かつ迅速な推進を可能とする明確なリスクベースの枠組みを提供します。

本ガイダンスノートでは、陸上技術を海事用途へ適用する際の特有の課題を考慮し、水素生成装置の設計、安全対策、船上設置に関する実務的な要件を整理しています。また、既存のクラス規則との整合性を確保することで、旗国当局や関係者との協議において、一貫性と信頼性のある技術的根拠を提供します。

本ガイダンスノートは、船主、造船所および技術プロバイダーにとって、現在進行中のプロジェクトにおける技術的および規制上の不確実性を低減し、承認取得までの期間短縮や、水素関連ソリューションへの投資判断に伴うリスクの低減に寄与することが期待されています。

LR 技術本部 燃料電池技術 主任スペシャリストのトーマス・バイヤーは、次のように述べています。

「新興技術の実用化においては、明確なガイダンスが不可欠です。正式な国際規制の策定を待つ間に業界が立ち止まることはできません。本ガイダンスノートは、船上水素生成プロジェクトを構想段階から実装段階へと前進させるために必要な明確性を提供するものです。
国際基準の整備に先立ち専用のガイダンスを公表することで、LRは新技術分野における信頼されるアドバイザーとしての役割を果たすとともに、海事業界の低・ゼロカーボンエネルギーへの移行を引き続き支援していきます。」

トーマス・バイヤー

トーマス・バイヤーは現在日本に在住しています。お気軽にお問合せください。

本ガイダンスノートは、LRの公式サイトより入手可能です。

LR-GN-061 Guidance Notes for Onboard Hydrogen Generation | LR

LRは最近、同社の受賞歴のある「Fuel for thought」シリーズ最新レポートを発表しました。本レポートでは、海運分野の脱炭素化における水素の潜在的な役割について、包括的に評価しています。

「Fuel for thought: Hydrogen」では、水素の生産・供給から船上での利用に至るまでを取り上げ、燃料としての利点を紹介するとともに、現在の採用を制約している安全性、インフラ、コスト面の課題についても解説しています。

Fuel for thought: Hydrogen : Fuel for thought: Hydrogen | LR



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